5500系の編成毎の差異

リノベーション前後を除き、あまり目立った差異が無いように見える5500系ですが、実はバリエーションがとても多くあります。このページでは、事細かに違いを紹介していきます。

また、近年は検査前後でのクーラーキセ交換や乗務員室仕切りの仕様変更等が多く、検査のあるなしに関わらず状態が変わってしまうという状況ですので、現時点で把握できている差異をなるべく詳細に記述します。

更新日:2018/05/17

製造時からの違い

5500系は製造時期によって構体設計が2タイプ存在し、更に後期車は製造メーカーによって2タイプに分けられます。5551Fについてもこの項で記述します。

5501F,5503F

95年度登場の5500系は5501F、5503Fの二編成。

この二編成は窓枠・妻面の構成、客引戸などに特徴がみられ、8000系タイプⅣを踏襲した仕様です。

妻窓は長方形でアルミ銀枠、妻引戸は狭幅。側窓は縁が車体色、金抑え窓の側引戸を装備(リノベーション時に交換)。

8000系タイプⅣと95年製5500系の比較

側引戸

左から順に5500系(2013年10月;ドアステッカー交換直後)、5500系(2016年;戸袋引き込み注意の黄色ステッカー貼付後リノベ前)、8000系(2013年;リニューアル前)

形状はほぼ全く同一に見えますね。

妻面

8233F~8249Fと5501F,5503Fでは、ジャンパ配置等には変更があるものの、構体はほぼ同じです。

5501F,5503Fは後年改造によって転落防止幌が設置され、リノベーションによって雨樋や転落防止幌の交換、ジャンパ栓納めの撤去が行われていますが、これについては後の項で記述します。

蛍光灯カバー

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5501,5601の2両だけ取り付けられていません。(2013年撮影;リノベーション後も変更なし)

5505F~5509F,5511F~5517F

側面は客引戸が凹凸の少ない接着窓に変更され、側窓も縁が黒いタイプになっています。

妻面は9000系の配置を踏襲し、妻窓の幅が狭まり、角が丸く、妻引戸は広幅となりました。

更にこのグループのうち、1997年度登場の5505F~5509Fは川崎重工製で妻窓も接着窓となりスッキリした印象。妻面の車番もプレートタイプになっています。一方、5511F以降は武庫川車両製に戻り、車番は切り抜き文字に、妻窓は黒い縁のついたものとなっています。(下写真;2012年頃)

転落防止幌は5505Fより新製時から取り付け。5501F,5503Fとは異なる形状の台座です。

よく見ると転落防止幌台座のボルト位置、配管止めの位置も異なることが分かります。

5551F

さて問題は5551Fです。

5517F登場(2000年)から10年もの時を開けてのジェットカーの新車で、変更点は数多くあれど、パッと見の構体は最終製造型と同じ。

”5550系”と呼ばれることも多いですが、阪神電車の公式イベントなどでも”5500系”として紹介されることも多数。ホームページの車両紹介にも”5550系”という形式は見当たりません。

では「”5550系”は公式呼称ではないのか?」と言いますと、そうとも言えないようです。

2011年度の安全報告書にはしっかりと”5550系”の文字が存在します。

http://rail.hanshin.co.jp/service/anzen/2011.html

安全報告書2011より

2018-05-16.png

さて形式に関するあれこれをざっくり見たところで、5551F特有の違いを紹介しましょう。

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写真は5551-5651+5610-5510で5509Fの出場試運転を実施した2017年10月24日のもの。

よく取上げられがちな大きな変更点は、この画像一枚でほぼ説明がついてしまいますね。

その大きな変更点はさておき、あまり触れられていない変更点をここでは紹介していきます。

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転落防止幌

転落防止幌の設置高さが異なります。5551Fは少し低い位置に取り付けられているのが分かるかと思います。

更に、取り付け台座にはヒンジが付いており、従来の5500系のいずれとも異なる構造になっています。(1000系二次車より採用のもの)

入換用前照灯

5651の神戸方と5652大阪方の妻面には入換用の前照灯が取り付けられています。

これに伴い、妻面の車番が従来より上方のアレグロブルーの面に取り付けられています。

ワイパー

運転席のワイパーの取り付け位置が随分下になっていますね。

消えた床下車番

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5500系(~5517F)では床下機器に車番の末尾1~2ケタが書かれていますが、5551Fでは床下に車番の末尾2ケタが書かれていません。

床下機器に書かれていた「車番の末尾1~2ケタ」は1000系以降の車両で消滅しています。

ジェットカー唯一の付随車

5551Fの神戸方先頭車「5562」は、初代5001形(1130のほうがええかな?)に始まるジェットカーで唯一の付随車です。

5700系にも付随台車はありますが、5701形が0.5Mというだけですので、完全な付随車としては唯一の存在となります。

29.0tしかない。

銘板の形状

妻面

川崎重工製の5505F~5509Fのみ楕円形の製造銘板が取り付けられています。

車内

武庫川車両のもの、川崎重工のもの、アルナ車両と阪神車両メンテナンスのもの(5551F)の三種類があります。

後年改造について

スタンションポールの手すり

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5501F,5503Fは当初高めの位置に手すりが設置されていましたが、後の改造で高さが下げられています。(当初の位置はネジのあたり)

下げられたものの、5505F以降に比べてはまだ高い位置です。

座席モケットの交換

2000年代前半に9300系と同じ柄で色違いのものに交換されています。

転落防止幌

5501F,5503Fは転落防止幌未設置で落成、後に取り付け。(左写真の5602です)

5505F~5517F,5551Fは新製時より転落防止幌を設置して登場していますが、5513Fは2012年度冬に5614-5514間のみ、近鉄のシリーズ21で採用されているものに改造(右写真)。後に5700系や5500系リノベーション車両に採用されていることから、試験が目的だったのではないかと。取り付けに際して雨樋も改造されています。

連結器換装

バンドン式密着連結器から廻り子式密着連結器へ換装されました。

左写真(2008年1月16日撮影)は5507Fのバンドン時代のもの。右写真(2008年6月14日撮影)では、5515Fは廻り子式密着連結器に既に換装され、同じく廻り子式である1601Fとの連結している。

車内案内表示器

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路線図と一体型の案内表示器は、2013年~2014年初頭にかけて、1000系で採用されたLEDマトリクスのみのタイプに急速に交換され消滅。

この表示器は5500系(5551F除く)のほか、9000系、9300系に取り付けられていました。

(5505F,5507F,5515Fは2014年1月8日時点で残存)

客室灯LED化

2013年の5505Fに始まった客室灯の蛍光灯からLED化への換装。

5505-5605での試験段階では随分と青っぽい色でしたが、本格採用に至った現在では蛍光灯とほぼ同じ色合いになっており、区別はつきません。

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現在では、LED客室灯搭載車は車内妻面車番下に上写真のようなエッチングプレートが貼りつけられています。

リノベーション工事

登場から20年前後となり最新型の5700系も登場したことから、車内設備を5700系同等にすべく、リノベーション工事を5501Fより施工。2017年度より運行を開始しています。

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塗装が大きく変わったリノベーション車両。

もちろん塗装のみならず、様々な点に変更が加えられています。

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転落防止幌

5700系や近鉄のシリーズ21に使用されている転落防止幌に換装されています。

先述の通り、5514-5614で試験が行われていたものが本格採用された形です。

この転落防止幌を設置する際には雨樋が干渉するため、雨樋の形状も変更されています。

あとしれっとステップも変更されてたりする。

車両情報統合システム搭載

東芝の車両情報統合システム(LCD等)を新たに搭載したため、モニタ中央装置等が床下に追加されています。

参考:

これに伴い、車両間引き通しケーブルが一本増えたため、妻面の車番・銘板の一部の位置が変更され、梅田側ユニットの中間車(5601形奇数車)の神戸方妻面のジャンパ栓納めが撤去されています。

増設されたケーブルソケット。山側に設置されている。

ジャンパ栓納めは車体から撤去され、代わりにチェーンでぶら下げられるようになりました。(5601は黄色、5603,5605は灰色であることを確認したが、常時編成毎に保管されているのかは不明。)

半自動ドア化

ドア鴨居下部には、開閉時の注意喚起の赤ランプと、取っ手が新たに設置されています。

5501F,5503Fではドアそのものも交換されています。

内装変更・切り欠きつきドアレールへの一部交換

車内の模様は5700系に準じた柄に変更されています。ちょい乗りシートはリノベーションでは採用されていません。

ドアレール切り欠きは、バリアフリー施策(車いすやベビーカーのスムーズな乗降)として一部が交換されています。

妻引戸の取っ手も握りやすい大型のものに交換されています。

車側灯の交換

5505Fでは車側灯がユニットタイプのもの(5700系と同等品と思われる)に交換されています。(右写真)

5501F,5503Fの改造時には車側灯には変化なし。(左写真)

やや、ややこしい後年改造

さてもう随分と訳の分からないことを書き連ねていますが、ここからはさらに細かい車両ごとの相違点を部位ごとに説明します。

前照灯

5505Fは2013年1月31日に2粒のコイト電工製LED小糸製LEDに、5551Fは2016年10月の出場時に、5509Fは2017年10月の出場時に16粒の森尾電機製LEDに交換。

 

加えて5501F,5503F,5505Fはリノベーションと同時に16粒LEDに交換されています。

乗務員室仕切り

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乗務員室仕切りには車掌側窓の上部が開くタイプ・開かないタイプの2種類と、仕切り扉の上部が開いているタイプ・開いていないタイプの2種類が存在します。つまりこの組み合わせで2×2の4タイプ存在しうることになります。

2016年末時点での調査結果

車掌側窓開・扉窓開:5503F

車掌側窓開・扉窓閉:5551F

車掌側窓閉・扉窓開:5501F,5505F,5507F,5509F,5517F

車掌側窓閉・扉窓閉:5511F,5513F,5515F

クーラーキセ

5500系に搭載されるクーラーキセは二種類存在するのですが、型番が分かりませんので暫定的に前期型・後期型の名称を使用します。

DSC09396DSC03221

この記事では前者を前期型、後者を後期型として扱います。

クーラーキセは全般検査時に交換されている場合があるほか、そうでなくとも交換されている場合があることが分かっています。

調査結果(2013~2018年)

※(括弧)内のRNはリノベーション工事を、数字は年月日を表します。括弧が付いていない場合は調査期間中に変更がなかったことを表します。

5501F(~2016):全車前期型

5501F(2017.4RN~):5502の梅田側のみ後期型へ交換

5503F:全車前期型

5505F(~2017.8.2*):全車前期型

5505F(2017.8.2*~):5505-5605のみ後期型へ交換

5505F(2018.5RN~):更に5506の神戸側のみ後期型へ交換、計8基中5基が後期型となる。

5507F:全車前期型

5509F(~2017.9):全車前期型

5509F(2017.10~):5509-5609のみ後期型へ交換

5511F:5611の神戸側のみ後期型

5513F:全車後期型

5515F:全車後期型

5517F(~2017.夏):5517-5617のみ前期型へ交換

5517F(2017.夏~):更に5518の梅田側を前期型へ交換

たいせつがギュッとステッカー

2015年2月26日に突如として貼り付けが始まったハートのステッカー。

当初はステッカーの貼付位置は結構バラバラで、5500系では3パターンが存在しました。(下写真)

2月末時点では運転台側標識灯の上に貼り付けられた車両(写真1枚目)が多かったのですが、標識灯上のステッカーは5月中旬頃からワイパー下(写真2,3枚目)の位置に移動しています。ちなみにワイパー下のステッカーは、更に「塗り分けライン直下」と「標識灯と塗り分けラインの真ん中あたり」の2パターンに大別できます。

これだけかと思いきや、実はステッカーが一定期間貼り付けられていなかったりする車両もあります。

この項目ではざっくりですが、リノベーション前の「各先頭車のステッカー、どの期間にどの位置に貼っとったか」ということをまとめていきます。

 

標識灯上

5503,5504(2015.2~2015.5<検査入場>)

5505~5508(2015.2~2015.4)

5511~5516(2015.2~2015.5)

5517,5518(2015.2~2015.10)

ワイパー下真ん中

5501,5551,5562(2015.2~2015.5)

5502(2015.2~2016.8<RN入場>)

5509(2015.2~2015.4)

ワイパー下塗り分け直下

5501,5505~5516,5551,5562(2015.5~)

5503,5504(2015.11~)

5517,5518(2015.10~)

貼り付けなし(2015.2.26以降)

5503,5504(2015.6~2015.11)

5510(2015.2~2015.5)

この記事を書いた人 :

生まれた時から阪神電車がそばにいた阪神電車オタク。 時が経つにつれてちょっとずつ変わっていくものが好き。 設備、車両、模型と手を四方八方に出しっぱなしで収拾がつかない。

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