尼崎と大阪難波を結ぶ阪神なんば線に「新淀川橋梁」があるのはご存知ですか?ー「淀川橋梁」とも呼ばれる橋ですが、嵩(かさ)上げを目的に架替え工事が進められています。この記事では、淀川橋梁改築の夜間工事の一幕をご紹介します。
阪神なんば線では、「淀川橋梁改築事業」が進められています。淀川にかかる「淀川橋梁」は阪神なんば線の開業時からありますが、一部報道で水面スレスレと言われるように桁の高さが低いことが特徴です。それゆえ、現在の淀川橋梁は防災面や列車運行面でネックになっていて、嵩(かさ)上げするため新たな橋梁に架替えられることとなりました。
淀川橋梁の嵩上げにともない、橋梁前後の区間では高架化が実施されます。特に橋梁の西側(尼崎側)に位置する区間では列車を運行しながら現在の線路敷を活用して高架化するため、工事過程で仮線が設置されます。陸上部の仮線と嵩上げ前の淀川橋梁とを取付ける必要が生じるため、古い淀川橋梁の西側では桁を入替え線形が変更されます。
工事の流れ
古い淀川橋梁の西端部では、線形を変更するにあたって桁が入替えられます。新しい桁を支えるため、カンザシ桁(既設橋梁補強桁)が設置されました。
カンザシ桁の設置後には、新しい桁がクレーンを使って夜間に順次架設されました。架設された新しい桁は、古い桁の撤去後に平行移動(横取り)して正規位置まで移動されました。
桁を平行移動(横取り)するにあたっては、油圧ジャッキが使用されます。阪神本線の芦屋~魚崎立体化工事では、宝治川陸橋の桁架設でも横取り工法が採用され、その際には間近に油圧ジャッキを含めた横取り設備を見ることができました。(2015年)
新しい桁では、平行移動前に軌道の準備がされました。レールは、桁の並行移動後に敷設されました。また、新たに建植された仮設鉄柱(架線柱)の基礎部はカンザシ桁に設けられました。
桁の入替えは終電後に実施されます。
桁がクレーンで持ち上げられることによって架空線に干渉することを防ぐため、桁撤去前には「架線寄せ」が行われました。
古い桁はクレーンで撤去されました。撤去される古い桁は、クレーンで台船に載せ運搬されました。
古い桁の撤去後、新しい桁が平行移動されました。
横取りしている様子の動画です。(20倍速)
新しい桁は複数回に分けて平行移動されるので、工事過程ではチグハグになった淀川橋梁を見ることができました。
入替え後の新しい桁が線形の変更に対応していることがわかります。
新しい桁に設置された管理票を確認すると、尼崎方面の桁は“KKG◯”、難波方面の桁は“NKG◯”と称されていることがわかります。
尼崎方面(下り)夜間工事の様子
1月8日終電後(8番→KKG8)
1月8日の終電後には8番の古い桁が撤去され、KKG8の新しい桁に入替えられました。
1月22日終電後(7番→KKG7)
1月22日の終電後には7番の古い桁が撤去され、KKG7の新しい桁に入替えられました。
1月30日終電後(5・6番→KKG5・KKG6)
1月30日の終電後には、2つの桁が入替えられました。5番と6番の古い桁が撤去され、KKG5と KKG6の新しい桁となりました。
2月12日終電後(4番→KKG4)
古い桁(4番)を撤去している様子と、新しい桁(KKG4)を平行移動している様子です。
2月19日終電後(2番→KKG2)
新しい桁(KKG2)の一部をクレーンで架設している様子です。
3月5日終電後(3番→KKG3)
古い桁が撤去され、新しい桁が横取りされている様子です。(3番→KKG3)
3/13終電後(2番→KKG2)
古い桁(2番)を撤去し、新しい桁を平行移動している様子です。
文:ぐんじょう
写真/動画:すのらび (す) ・Silky_jet(s)・ぐんじょう(ぐ)
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