妻面を構成する化粧板は一体どこで分割されているのかというお話です。
前編は連結面の妻面について、後編では先頭部のとまとめについて記述します。
ザクッと纏めると、今回はこんな話。
阪神電車の冷房車は7001・7101形に端を発します。同形以来の新造冷房車と、その登場後、改造工事により冷房車となった既存車両には連結面の貫通路に引戸が設置されました。
新造時からの冷房車と改造による冷房車のどちらでも、連結面の妻面のスタイルは全く同じ。
このスタイルは8000系Ⅰまで続いたものです。貫通扉の上にドアチェックの点検蓋が飛び出しているのが特徴。
妻面には数枚の化粧板が貼られています。このスタイルては、扉部分を除いて考えると4枚の化粧板から成り立っています。
化粧板の分割部分は下のとおり。
ご理解いただけるでしょうか。
そして、8000系Ⅱでは、車両デザインが一新されました。
妻面は一色に統一され、銀の見切縁も廃止されて見た目が向上しました。
化粧板の分割部分は下のとおり。
ツライチに見えますが、実は複数の化粧板から構成されています。下のように、処理はシームレス。
デザインは大きく変わりましたが、化粧板の構成は全く同じです。
デザインは大きく変わったものの、実は化粧板の分割部分は変わっていません。
そもそも、この分割構成は非冷房車に由来するものです。
非冷房車では、貫通路に扉は設置されていませんでした。
ここから正当進化していった様子が伝わるでしようか。
9000系では連結面の貫通路の幅が拡大され、同時に連結面の妻面のスタイルが完全に変わりました。
3011形の分割構成にマイナーチェンジを加えてできていった系譜から“外れた”と表現できるかもしれません。
そして、9000系で確立したこの分割構成のスタイルが現在の5700系まで続いています。
なお、8000系Ⅱ・Ⅲ・Ⅳと共通の分割構成を持ってして竣工した5500系一次車は、2017年のリノベーション工事により分割構成が変わっています。
これは、後編でお話する5700系の先頭部妻面に準じた処理としたと言えるのではないでしょうか。
後編もお楽しみ?にしてくださいませ。