まず、よくある間違いを整理しておきたいと思います。
“いわゆる連結器”はただの金属のカタマリ
よく勘違いされてる方が多いのですが、車両同士を連結するには写真の連結器さえ繋げばいいのではありません。
さまざまな電気回路を車両間で引き通す必要があるわけで、そのために“ジャンパ連結器”が装備されています。
ジャンパ連結器は栓受け・栓(プラグ)・ケーブルから構成されるものです。
芯数とは電線の本数のことをさし、例えば55芯のジャンパ連結器では55本の電線を束にしていることを意味しています。
X・Y・Z
ジャンパ連結器のうち、
- 制御連結栓(X)
- 補助連結栓(Y)
- 通信連結栓(Z)
の3つがを特に注目して、それぞれがどのように推移・変遷してきたかを見ていきましょう。
冷房化
冷房車では、冷房装置の新設に伴いその駆動用電源を供給する必要が発生したため、新たにMG(電動発電機)からの出力を引き通すジャンパ連結器を設けることとなりました。
それを目的とし、「交流連結栓受」を設置するスペースを捻出する必要が発生するわけですが、Y(補助:27芯)とZ(通信:27芯)の2つの栓受けを一つに統合することで空きスペースが作られました。ただし、統合されたと言ってもYとZの区別は引き続いてなされています。
非冷房車と編成をなすため、一部の冷房車では栓が二股に分岐されていた車両もあります
8000系
8000系では、Xが27芯から55芯に多芯化されました。
5500〜1000系
ユニット同士を結ぶジャンパ連結器の芯数は8000系と同じですが、ユニット内部の車両同士を結ぶジャンパ連結器の芯数に変化が発生しました。
ユニット内部のジャンパ連結器が84芯化されました。また、このことから、5500系では8000系以前の車と比較して引き通し回路が増加したことがここから伺えます。
その一方でユニット同士を結ぶジャンパ連結器の芯数は従来と変わらず55芯となっています。
また、各栓受けの配置が変更されたことも大きな変化です。
5700系〜
5700系では、更なるジャンパ連結器の多芯化がなされました。
ユニット内部のジャンパ連結器では、XとYZともに更なる多芯化(96芯化)が図られました。また、ユニット同士を結ぶジャンパ連結器でも、YZ に関しては多芯化がなされました。
まとめ
冷房化:補助連結栓受(Y)と通信連結栓受(Z)の統合
8000系:制御連結栓(Xの多芯化)
5500系:配置の変更とユニット内部の多芯化
5700系:芯数の変更
番外編
201・202
201・202のジャンパ連結器は他の車形のものとは異なります。Xは27芯、YZも27芯となっており、ジャンパ連結栓の艤装も異なることから他形式との併結は考慮されていないことが伺えます。