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阪神5700系全編成側面写真資料集」 を更新しました。

震災で復旧された高架橋を見る(御影~西灘)

施設 By ぐんじょう

1995年の阪神淡路大震災によって阪神間では甚大な被害が生じました。鉄道もその例外では無く、神戸と大阪を結ぶ「阪神本線」「阪急神戸線」「JR神戸線」では高架橋の崩落などを始めとする様々な要因で不通区間が生じました。

阪神本線では、1/17の大地震の翌日に「梅田」~「甲子園」が運転再開され、復旧が進むにつれ運転再開区間が順次延長されていき、「御影」~「西灘」の運転再開を最後に不通区間がなくなりました。「御影」~「西灘」の運転再開は6/26で不通日数は160日にもなりますが、最も復旧に日時を要したこの区間ではどのような被害が発生しどのように復旧されたかを見ていきましょう。

震災で復旧された高架橋を見る(御影~西灘)

まず、「御影」~「西灘」の沿革を確認したいと思います。
「御影」~「西灘」は1905年の大阪神戸間の阪神電車の開業とともに列車の運転が始まった区間です。1929年には「住吉」~「大石」の改良線が開業し、御影付近は高架化され路面電車区間たる併用軌道が解消されました。その後、1967年には当時整備の進められていた第二阪神国道(国道43号線)との平面的な重なりを解消するために「石屋川」~「西灘」が北側に線路を移設されるとともに高架化されました。

「御影」~「西灘」のうち阪神淡路大震災によって被害を受けた区間の総延長は2.6kmで、盛土区間では盛土や擁壁が600mに渡って崩壊し、また2kmに渡って高架橋が損傷や崩壊した他、8箇所の陸橋が落橋しました。

WARNING

阪神淡路大震災の被災時に撮影された写真が記事中に含まれます。不都合がございましたら、閲覧をお控えください。

ラーメン高架橋

「石屋川」~「西灘」においては1967年に供用の始まったラーメン高架橋が全区間に渡って崩壊ないし損傷し、高架橋の柱に被害が集中したのが特徴でした。駅部であったり高架下に頑丈な建物があった箇所では、高架橋の崩壊が免れ被害が損傷にとどまった傾向があります。

高架橋の地震による破損具合はさまざまでしたが、基礎については全数が健全で再利用に問題がなかったため工期の短縮につながりました。高架橋の復旧においては原型復旧が目指されましたが、阪神淡路大震災と同等の地震に耐えられるように耐震性が向上されています。(高架柱における帯鉄筋の巻きつけと鋼板被覆の実施)

下は既存の高架橋が補修された箇所で、柱に鋼板被覆が実施されていることがわかります。

 

下は、高架橋が崩落したため柱より上部が新設された箇所です。柱に鋼板被覆が実施されていることがわかります。従前にならっているため、1995年の完成でありながらも「張出し式」でラーメン高架橋同士が接続されています。また、梁にハンチがないことも特徴です。

 

「張出し式」、「ハンチ」については、詳しくは『高架橋「継ぎ目」考』の記事(鷲羽さん)をご覧ください。

震災で復旧された高架橋を見る(御影~西灘)

下の箇所では、梁に注目すると修復された高架橋と新設された高架橋でハンチの有無に差異があることがわかります。

盛土区間

石屋川駅付近と西灘駅付近の盛土区間では大きく被害が発生しました。

石屋川駅付近

石屋川駅付近の擁壁盛土は、土留擁壁が傾斜したり倒壊するに至ったため修復が困難なほどの被害が発生しました。

震災で復旧された高架橋を見る(御影~西灘)
写真提供:神戸市 (CC BY 2.1 JP)

復旧にあたっては、擁壁を築造しなおしてから盛土を作り直すと他の被災区間にあるラーメン高架橋の補修完了時期に間に合わないことや、地質条件の都合から、「パイルベント式ラーメン高架橋」として復旧されました。

 

「パイルベント式ラーメン高架橋」として復旧された理由は工期を短縮できることにあります。パイルベント式ラーメン高架橋では盛土の撤去を待たずして新たな高架橋を構築できるというメリットがあり、これは杭と柱が一体化しているため盛土上から場所打ち杭を施工できるためです。また、撤去されていない盛土上から支保工を組み立てられることも工期の短縮につながりました。なお、盛土は改めて撤去され柱が掘り出されています。

西灘駅付近

西灘駅付近では石積み擁壁が被災した箇所がありますが、耐震性を向上させるため補強土擁壁(ジオスタイル補強土擁壁)として復旧されています。「ジオスタイル補強土擁壁」については、阪神淡路大震災で被害が少なかったことから高い耐震性が示されました。

陸橋

「石屋川」~「西灘」においては8箇所の陸橋が落橋しましたが、落橋で封鎖された道路を開通させることが優先されたために落橋した陸橋は地震後すぐに撤去された上で復旧時には全て新設されています。陸橋の復旧にあたっては、重量の軽減などによって耐震性向上が図られています。

震災で復旧された高架橋を見る(御影~西灘)
写真提供:神戸市 (CC BY 2.1 JP)

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カテゴリー:施設,構造物

ぐんじょう

電車って難しいですよね。いや、ほんとに。


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