まえがき
阪神なんば線では、淀川橋梁の架替えと前後の区間を高架化する淀川橋梁改築事業が実施されています。淀川橋梁以西の区間では仮線方式で高架化されますが、仮線切替えは複数回に分けて実施されます。5月28日の終電後から、上り線のうち福駅から淀川橋梁にかけての区間を「1次仮上り線」として仮線切替する諸工事が実施され、翌29日の始発から1次仮上り線が供用開始されました。切替当日には、淀川橋梁で桁が1径間かけかえられたほか、軌道寄路や架線切替などが実施されました。淀川橋梁では仮線切替えに向けて9径間で桁が既に架替えられていましたが、西端部の1径間の桁は旧桁と平面的に干渉するため切替当日に架替えられたものです。
軌道寄路
軌道の作業が始まる前に、上り終電が福駅に停車し、作業開始の手続きが行われます。
終電であることが確認されたことで、終電通過後に軌道の作業が一気に始まります。軌道を寄せる区間では、軌道内のバラストがあらかじめ袋詰めされており、これを次々に撤去していきます。この間も下り線は運行中ですので、列車が付近を通過する度に作業員は安全を確保して待避します。
0:20頃
下りの終電通過後に軌道内に入る予定の重機は軌道外で待機し、この間に軌道外の作業員の方々が説明を受けている様子が見られました。
0:45頃
下り終電も去り、重機も軌道内に入り、バラストも抜き取られたところで、いよいよ軌道を寄せていく作業が始まります。
バラストによる固定から解放された線路は、数十人の作業員が同時に力をかけることで少しずつ、ずらされていきます。高所での架線作業も行われ、着々と作業が進展していきます。
▲予め準備されていたバラスト(5/4)
2:00頃
下り線の脇に置かれていた新しいバラストの詰められた薄橙の袋が、重機で上り線の脇へと移され、更にまた重機で吊り上げられ、今度は薄橙の袋の封を解かれてバラストを線路へと落としていきます。
この後は軌道に撒かれたバラストを押し固め、表面を整えていく作業が続きます。
▲バラスト散布の様子(4倍速)
この時点で既にほぼ新しい線形が出来ており、信号・架線の作業も終わると動作試験が行われました。
(軌道寄路の項・終)
橋梁架替
5/4 4/24
5/29 5/29
今回の架け替えは旧桁を撤去し、仮線と、淀川橋梁の位置の変更されない区間を繋ぐ新桁を架橋するものです。
0:30頃
これまでの桁の取替同様、作業開始に向けて準備が進められます。
今回は信号機も従来線から仮線へと切り替えられるため、信号機の首を振る作業が早々に始まりました。切替に伴い線形が変更される、既設の新桁部分の線路もずらされていきます。
下り終電が通過し終えると、いよいよ本格的に作業が始まります。
架線作業、軌道作業が始まりました。上述の作業用車両搬入口から入ってきた作業車が橋梁へと向かい、バラストを詰めた袋も順次軌道上へ移動されていきます。
旧桁吊り上げ・撤去(0:45~1:15頃)
北側の河川敷にある巨大なクレーンで旧桁が吊り上げられていきます。この時には既に橋梁上の線路の移動がかなり進んでいるのが写真から分かります。
▲南側より撮影
▲北側より撮影
▲踏切付近より撮影
▲踏切より吊り上げの様子を動画で撮影
これまで同様ですが、架線が吊架された状態での作業であるため、桁の下部にはロープが通され、桁の動きを地上から制御しながら吊り上げられていきます。
この間にも既設新桁上でのバラストの作業や、付近の架線作業などが進められています。
新桁吊り上げ・架橋(1:30~1:45頃)
▲左:北側に準備されている新桁 / 右:新桁を架ける場所
今度は北側河川敷に予め準備されていた新桁が吊り上げられ、分断された状態の上り線へ、旧桁から少し北側にずれた位置へと架橋されます。
▲南側および踏切より撮影
▲北側より撮影
▲踏切より動画を撮影(撮影:wa)
▲北側より動画を撮影(撮影:wa)
▲踏切より動画を撮影
軌道整備(~3:00頃)
架橋されると、一挙に線路が整備されていきます。レールを敷き、締結、バラストを固めて測定…
使われなくなる従来の上り線は鉄パイプで閉鎖されました。
片付け・確認作業
片づけが進んで行く毎に、大勢の工事関係者で溢れていた橋梁上へ段々と静けさが戻ってきました。
試運転
空が白んできた頃、1207F(灘五郷ラッピング)を用いた試運転列車が接近してきました。
確認のため先頭車の1,2枚目の扉を開放した状態で、淀川橋梁へ。
(撮影:wa)
試運転が一往復し、始発列車が到着。こうして無事、仮線での営業が開始されました。
最後に前面展望の比較をどうぞ。
▲4/3
▲5/29
文責:snowlavit
写真・動画:snowlavit・scottokarev・wa・く・HS8000