鉄道ドボクを扱った複数の趣味サイトに「阪神電車の路線にはトラフガーダーが多い」という記述を見かけまして、ホンマカイナと調べてみたところ、2018年春現在、阪神の本線となんば線で合計13か所※なのと比べて、お隣の阪急神戸線では御影~芦屋川付近など少なくとも18か所のトラフガーダーが設置さておりまして、必ずしも阪神が飛びぬけて多いという訳ではありませんでした。なぁんだ、ちぇっ。
※東灘連続立体交差事業区間仮線の2か所(西青木川橋梁・法治川橋梁)を除く
しかし!「阪神にはトラフガーダーが多い」を”体感”できる場所があります。先に述べた、阪神線内のトラフガーダーの内、過半数の7か所が本線の芦屋~打出の築堤区間に集中しているのです。そういえば上り特急から前方を眺めて、打出まで続く築堤に短い陸橋が点々と並ぶ様子をご記憶の方もいらっしゃるでしょう。この車窓(前面展望)風景こそ、「阪神=トラフガーダー」というイメージを醸成しているのかも。
トラフガーダーの聖地、芦屋~打出
芦屋出発直後の上り前面展望。薄緑色(陸橋の標準色)に塗られたトラフガーダーが連続する(手前から「第二号」「第三号」「第四号」さらに奥には「第六号」「第七号」と続く)。
芦屋駅から線路沿いに東へ歩くと、道路は一気に下って線路は石積み擁壁に支えられた築堤の上を走ります。ここは芦屋川と宮川という近接する二つの天井川に挟まれた区間のため、このような築堤となったものと推測されます。築堤と言っても高さは精々3mほどしかなく、トラフガーダーを以てしても、桁下※は2.3~3.1mとトラックは通れない高さしかありません。
※桁下は防護桁記載の数値で、実際の桁下空頭には多少の余裕を見込んでいるようです。
この区間には西から順に「第一号」~「第七号」(線路脇の標識には「芦屋第1号」~「芦屋第7号」と表記)と命名された陸橋が連続しており、後年拡幅と道路の盤下げに伴い架け替えられた第五号陸橋以外は、全てトラフガーダーです。更に宮川の東側にもトラフガーダー1か所があり、こちらは「打出陸橋」と名付けられています。
芦屋~打出間に所在する7つのトラフガーダー
以下、だらだら~っと各陸橋をご紹介します。
第一号(芦屋第1号)陸橋(支間9.58m)
この区間のトラフガーダーの中では最も支間帳が長く9.58m、桁下空頭は3.1m
30年ほど前に撮影した第一号陸橋。橋側歩道がなくトラフガーダーの「薄さ」がよく分かる(1988年)
第二号(芦屋第2号)陸橋(支間7.2m)
第三号(芦屋第3号)陸橋(支間7.2m)
陸橋の前後は橋台があり軌道が沈下しにくいため、縦断線形に僅かに凹凸を生じる
交差道路は2車線に拡幅されたので陸橋がオフセットして見える。春は桜並木が美しい(2001年)
第四号(芦屋第4号)陸橋(支間7.2m)
第六号(芦屋第6号)陸橋(支間7.2m)
住宅街に忽然と出現するトラフガーダー。桁下は文化住宅の自転車置き場に(1988年)
第七号(芦屋第7号)陸橋(支間7.2m)
第七号陸橋は宮川橋梁(支間9.67m)と宮川陸橋(17.0m)と連続しており、トラフガーダー、上路鋼板桁、下路鋼板桁(三主桁)と三種の異なる橋梁形式が連続しているのが魅力的。
30年前の写真に見える右手前の駐車場は今はコンビニに、線路向こうの住宅も建て替わっている(1988年)
打出陸橋(支間7.315m)
第一~第七号陸橋と異なり、本橋は縦桁が一体モノのI型鋼ではなく、鋼板を組み立てた鋼板桁であるため、側面から見ると桁材のウェブとフランジの接合部にリベットが並んでいる。このタイプは阪神線内では唯一の存在。
以上、読了お疲れさまでしたm(_ _)m