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阪神5700系全編成側面写真資料集」 を更新しました。

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系

車両 By 鷲羽

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系7861形7861と並んだ3000系3107。いずれも平妻・竪樋露出の経済設計スタイル(silky_jetさんご提供)

1970(昭和45)年登場の7101-7001形以来、省エネ・省メンテナンスを目指して「電機子チョッパ制御」を採用してきた阪神電車ですが、チョッパ機器が大型で高価であるため、本格的な採用は普通用車両ジェットカーに止まっていました。一方、安価で相応の省エネ効果が期待できる「界磁チョッパ制御」が他の民鉄業界で採用実績が増えていたことから、急行系車両においてはこちらを採用することとなり、まず1983(昭和58)年に在来車を改造した初の界磁チョッパ制御車として登場したのが「3000系」です。

3000系の走行音(魚崎~尼崎・silky_jetさんご提供)

阪神3000系概要

改造の種車となったのは、1963(昭和38)年から大量増備された経済設計車両7801-7901形Mc-T(7801~7812、7901~7912)と、同形態の車体を持つ3521形Mc(3521~3532)で、冷房改造に伴い電源装置を共有する3両ユニット12本を組成していたものです。

改造により元の7801形(Mc)-7901形(T)+3521形(Mc)は3101形(Mc)-3001形(M’)-3201形(Tc)となり、回生ブレーキの離線対策としてTc3201形には種車3521形のパンタが残置されています。界磁チョッパ制御装置はMc3101形に1C8Mの三菱電機製FCM-118-15MRHが搭載され、主電動機も複巻式のTDK-8175-A(出力110kW)に換装されています。

3000系への改造は1983(昭和58)年から89(平成元)年にかけて行われ、1987(昭和62)年改造の末尾07以降では内装デコラ(化粧板)が従来の緑ドット模様から8000系2次車と同じライトグレー系に変更されました。

種車の7801-7901形、3521形と3000系の車番対照は下図の通りで、改造前に3両編成を組んでいた組み合わせそのままに改造工事が施行されたため、車番は順不同となっています。なお3521形の後期型6両(3527~3532)を種車とする3101形(Mc)3104、3106、3112と3201形(Tc)3203、3209、3211は他の3000系と比べて車体断面や扉の寸法等が異なっており、編成中で微妙な段差が見られました。

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系3000系編成図

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系後期型3521形を種車とする3101形3104を先頭にした5連準急。これは6連化以降は全て中間に封じ込まれ、竪樋を埋め込んだ表情を見ることは無くなった(出屋敷/1988年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系3000系3207と7861-7961形で組成された5連。朝夕ラッシュ時の準急や区間急行として運行された(尼崎センタープール前/1990年)

1995(平成7)年の阪神大震災で3109~3210の6連1編成が被災し廃車になった後、1998(平成10)年の直通特急運転開始に伴う車両需給に伴い3102~3201と3103~3204が引退したのを皮切りに、2003(平成15)年までに9300系新造による代替により形式消滅となりました。

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系最終運行日に顔を揃えた3000系3102と3103(千船/1998年)

3000系 車内と銘板いろいろ

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系3000系初期改造車3103の運転台

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系運転台パネルがえんじ色となった後期改造車3207。編成の中間に封じ込められた車両で、列選が撤去されている(silky_jetさんご提供)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系初期改造車は車内化粧板が緑ドット模様(3004)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系後期改造車はライトグレー系ドット模様(鉄部はベージュ系塗装)に(3007/silky_jetさんご提供)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系3207の車番プレート(silky_jetさんご提供)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系3011の製造銘板。種車7911は昭和39年川車製、武庫川車両の改造銘板(昭和48年)は冷房改造時

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系3207の製造銘板。種車3526は昭和42年武庫車製、冷房改造(昭和47年)も武庫車(silky_jetさんご提供)

3000系アルバム

以下、往時の姿をご覧ください。

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系快速急行に充当されたトップナンバー編成。通称「聖子ちゃん号」※(西灘/1987年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系末尾01+02ユニットは1990年頃から大阪方と神戸方のユニットを入れ替えて運行された(尼崎/1998年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系朝ラッシュ時の区間特急に充当された3103。3,4号車の背が高いのが分かる(杭瀬/1997年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系今は無き特急板を掲げた3204(大石/1997年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系特急板を掲げた3105(杭瀬/1997年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系高校野球のE車(臨時特発列車)に充当された3206(甲子園/1997年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系高校野球の特急板を掲げた3107(甲子園/1992年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系特急板を掲げた3208(住吉/1997年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系阪神大震災で被災し廃車された3109。甲子園駅前のプランタンデパート(現コロワ)が建設中(1992年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系雪の朝、急行に充当された3111(大物/1999年)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系高校野球のノンストップ特急に充当されたラストナンバー3212(野田/1999年)

引退間近い頃の3000系(提供:silky_jetさん)</)

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系淀川橋梁を渡る3107

消えた車両シリーズ(6):界磁チョッパを初めて採用した3000系通常の特急板は掲出取りやめとなったが、高校野球開催期間中のみ特急板が掲出された3112(魚崎)

※高校野球の入場行進曲に選ばれた縁で、某歌謡番組のロケとして当時人気絶頂の松田聖子ちゃんが改造竣工間もない3000系トップナンバー編成の車中で熱唱。これを見たファンが梅田駅に続々と詰めかける騒ぎとなった(当の聖子ちゃんは尼崎で下車)。


カテゴリー:車両

鷲羽

そろそろ60に手が届きそうなオッサン。90年代が阪神撮り鉄のピークゆえ、最近のネタには疎いです。


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