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阪神5700系全編成側面写真資料集」 を更新しました。

FS-341台車とその一族

車両 By 鷲羽

ひと頃の阪神電車において最大数を占めた台車「FS-341」。今や武庫川線と貨車でしか見ることのできないこの台車と、その派生型についてご紹介します。

FS-341台車とその一族

現在も武庫川線で活躍中の7861-7961形の台車はFS-341/341T(…にしては写真が古い)

FS-341台車のルーツは、1954(昭和29)年に登場した阪神初の大型車3011形に採用された、本邦初となるカルダン駆動台車FS-202でした。小型・軽量を実現したこの台車は、その後の阪神電車の規範となり、続く汎用急行用車両3501形のFS-206を経て、MT編成を採用した3701-3601形では動力伝達装置を平行カルダン駆動方式としたのが、このFS-341という台車だったのです。なおTc車はFS-341を両抱き式ブレーキとしたFS-31でした(「元祖赤胴車」の記事参照)。

続いて旧型車置き換えのために1963(昭和38)年から大量製造された7801-7901形にもM台車としてFS-341が採用され、T車には台車枠を共通設計としたFS-341Tが採用されました。以降、急行系初の冷房車となった7101-7001形に至るまで、FS-341Tを含めて延べ162両に及ぶ急行用車両に使用されることになりました。更には、先だって廃車になった救援車110号や電動貨車201形にも転用されています。

本台車はオールコイルばねの揺れ枕式軸ばね台車で、台枠は一体鋳造式(最終ロットでは溶接組立式に変更)で、台車枠がT台車のFS-341Tも共通設計で主電動機の取付座が付いており、このため容易に電動台車に改造することができました。この特徴を生かして、7961形のMc化(いわゆる変則前パン車)や2M1Tとなった2000系への改造工事など、相当数のFS-341Tが電装化されています。

FS-341台車とその一族

FS-341/341Tを最も多く使用した7801-7901形。

FS-341台車とその一族

2000系2003に使用されていた、7801初期型の廃車発生品と思しき鋳造台枠の「原型」FS-341。

後期ロットは溶接組立式に

1970(昭和45)年に登場した7101-7001形7101~7118、7001~7018と、7801-7901形7842~7850(偶数車)、7942~7950(偶数車)に使用されたFS-341/341Tは、台車枠が鋳造式から溶接組立式となり、揺れ枕吊が中吊式から外吊式に変更されるなど、別形式にしても良いほどに設計変更されています。この仕様変更はメーカである住友金属側の事情だったようです。なお、これら溶接組立式のFS-341は、2000系改造後に保守検査の容易な鋳造式のFS-341(7801形等の廃車発生品)に振り替えられた車両がありました(上掲画像)。

FS-341台車とその一族

溶接組立式のFS-341台車組立図(7101-7001形取扱説明書より)

FS-341台車とその一族

2000系2004に使用されていた、7001形出自の溶接組立式のFS-341

陽刻「M」と「MM」

台車枠に付いているボルスタアンカ座に、「M」とか「MM」という英文字の陽刻が見られるものがあります。「M」1文字の陽刻は、1968(昭和43)年以降の製造ロット(7861形の後期車)において、台車の組立てに使用されるねじの規格がISOねじに変更されたことを意味しています。また「MM」2文字の陽刻は、ISOねじ採用に加えて、1970(昭和45)年以降製造のFS-341T(7101形7101~7118と7901形7840~7850(偶数車))において、車両冷房化に伴う重量増に対応して、使用するばねがM台車と共通のものに強化されたことを意味しています。

FS-341台車とその一族

2000系2012号は元々T車である7901形7950号からの改造であるため、台車は溶接組立式のFS-341Tを電装化したもの。ボルスタアンカ座にISOねじ使用とばね強化を示す「MM」陽刻が浮き出されている。

FS-341台車とその一族

電動貨車201形202号に使用されているFS-341T。鋳造台枠タイプの特徴である、中吊式の揺れ枕吊りを台枠内に収めた丸い蓋がよく見える。これは7961形(後期車)からの転用されたT台車を電装化したものであり、ISOねじ使用+ばね強化によりボルスタアンカ座の陽刻は「MM」であるが、上段のM(ばね強化を示す)は後年の改造のため、鋳型ではなく鋼線を後付けしている(画像提供:けーてぃーさん)

普通系用の派生型FS-343

初期のジェットカーは空気ばねのFS-207を履いていましたが、5231形以降ではFS-341に準拠したコイルばね台車FS-343が採用されました。主電動機が一回り小さい出力75KWで、車輪径が762mmであることを除けばFS-341とほぼ同型で、5261形5271~74に至るまで、こちらも74両が使用することとなり、更に回生チョッパ車5131・5331形にも転用されました。なお、5311形と5261形5271~74に使用された台車はISOねじ使用(「M」陽刻)です(全てM台車のため「MM」陽刻はありません)。

FS-341台車とその一族FS-343は、5261形の増備車で冷房付で新造された5271~5274での採用が最後となった(2000年)

FS-341台車とその一族5231形から5131形に転用されたFS-343は、FS-341と同型ながらジェットカー用なので車輪径が小さい(762φ)のが特徴。

レールオイラー装着

7901形の一部(8両)において、1966(昭和41)年にレールオイラー(台車塗油器)が取り付けられました。その後、塗油方式や取り付け車両も変わりましたが、1990年頃まで残存していたと記憶しておりますが、写真撮ってないので記述にとどめます(涙)。


カテゴリー:車両

鷲羽

そろそろ60に手が届きそうなオッサン。90年代が阪神撮り鉄のピークゆえ、最近のネタには疎いです。


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