1970(昭和45)年に5271~5274の2両ユニット×2が製造されたジェットカーで、下回りが同一のため5261形の続番となりましたが、車体は同時期に登場した急行用車両7101形や7801形7840~と同一設計とされ、ジェットカーでは初となる冷房装置MAU-13Hが搭載されました。主制御器は冷改後の5261形と同じくPE-30-A3(5272)、PE-30-A2(5274)、台車はFS-343です。
5261形5272号形式図(「日本民営鉄道車両形式図集・下編」鉄道図書刊行会より)
登場以降、新5001形の登場(1977年)までは唯一の冷房付きジェットカーだったため、夏になると涼しい車内に夏休みの宿題を持ち込む小中学生もいたそうな…。
沿線でも注目を浴びたブルーノート号
本車形のエピソードとして最も記憶に残るのは、1990年11月に阪神の系列会社であるジャズレストラン「大阪ブルーノート」の宣伝用に全面広告塗装車となったことでしょう。コバルトブルーの車体に白いロゴマークを配した外観はひときわ目立つ存在でしたが、約四か月間走行した後、翌3月の定期検査入場により旧に復しました。
コバルトブルーの車体は沿線でもひときわ目を引く存在だったブルーノート号
登場時と引退時に運転された貸切列車「JAZZの夕(ゆう)べ」号。車内でのバンド演奏とドリンクサービスが行われた
大きな改造を受けることもなく活躍した同車でしたが、2000(平成12年)3月に5500系の増備に伴い廃車されました。
代替新造車5500系5517と並んだ5271。この数日後に西大阪線での運用を最後にひっそりと引退した
※5/11ブルーノート号の運行期間を修正しました。